ワールドカップによるJリーグ中断が明けてから、3連勝を収めている好調な清水エスパルス。
その上昇ムードに水を差すような不祥事が発覚しました。クラブの元職員が2012年から2018年にわたって6,700万円ものクラブ資金を私的に流用していたとのこと。
ファン・サポーター、パートナーのみなさまへ【当社元社員による不正行為についてのお詫び】(清水公式)
https://www.s-pulse.co.jp/news/detail/40599/
この度、当社の元経理担当者が2012年から2018年にわたる6年間、約6,700万円の会社の経費を着服し、私的に流用したことが判明しました。
このような事態を招いた事を猛省するとともに、ファン、サポーターの皆様、株主様、パートナーの皆様をはじめとする多くの関係者の皆様の信頼を裏切る結果となりましたことを、心からお詫び申し上げます。
本件の原因は、当該元社員に経理に関する多くの業務を任せ、また会社としての組織的なチェック体制が機能せず、不正行為を見抜けなかったことであり、既にチェック機能の強化を実施しております。
今回の事態を受け、当該元社員は、7月31日付で懲戒解雇となり、また本件に対する管理監督責任を明確にする為、社長の左伴が報酬の30%を3カ月間減額いたします。
当社では、今回の不正行為発生を厳粛に受け止め、コンプライアンス意識の徹底、業務フローの見直しなど内部統制体制の更なる強化を業務・人・システムの面から行って参り、皆さまから愛されるクラブになりますよう努めて参る所存です。
今後とも変わらぬご支援・ご声援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
株式会社エスパルス
代表取締役社長 左伴 繁雄
こんなことニュースの世界の他人事だと思っていましたが、まさか応援しているチームの運営会社がその当事者になってしまうとは…。
2012年から18年といえば清水にとっては激動の時代。
11年に就任したアフシン・ゴトビ監督体制で資金が限られている中で選手をやりくりして中位をキープしていたものの、2014年の監督交代を含め、試合とは直接関係のない様々なゴタゴタからチーム状態が下降し、2016シーズンには初のJ2リーグを戦うことになりました。
J2降格で客足が落ち込む中、2015年から就任している左伴繁雄社長の陣頭指揮のもと、クラブ社員が地元企業に営業をかけてスポンサー(パートナー)を増やし、チームが頑張りを見せ1年でJ1復帰。
復帰した2017シーズンは成績こそ最後まで残留を争う事となってしまいましたが、客足は回復し、クラブスポンサーも確実に増え、経営的にも安定してきた。
そして今シーズンは成績も安定しはじめて再びエスパルスが輝けるかもしれない、と思わせるところまで来た…。
そんな苦しみの中から再生を果たそうとしているエスパルスの中にあって、この経理社員はクラブのお金を着服していたのです。
どんな苦境でも現場で戦う姿勢を見せお金を稼いでいる選手。頭を下げて地道な営業活動でお金を稼いでいる営業スタッフ。そういう人たちを一番近くで見ていたはずの職員が、長きに渡って裏切り行為をどんな気持ちで続けていたのでしょうね。
経理のようなバックヤード部門は会社のなかでも特殊で、バックヤード以外の部門の人からはなにをしているかわかりにくいのは確かです。
それゆえに社長を始めとする幹部や、外部監査機関などの第三者がきちんとお金の流れを見ておく必要があったのでしょうが、そういうことがされていなかった(されていたとしても機能していなかった)のは非常に残念。
どのような形で流用をしていたのかは不明ですが、6,700万円ものお金が正しくクラブの中で使われていたのであれば、もしかすると今とは違う歴史が展開されていたかもしれません。
今回、懲戒解雇ということが発表されていますが、それだけで済むのか済まないのか。着服したお金の損害賠償請求や、場合によっては業務上横領罪に問う刑事告訴ということも。
しかし、後者の刑事責任を問うことはクラブにとっても更に不名誉な形で世間に伝わり、イメージダウンにもなりますし…どうするんでしょうか。
ただ少なくとも損害賠償は請求して、少しでもいいのでお金は戻してほしいと思います。
→6,700万円は全額返済の見込み。そのため刑事告訴見送りとの話。
清水で前代未聞不祥事、元出向社員6700万円着服(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/soccer/news/201808030000560.html
既に当該元出向社員から約3000万円が弁済されており、今後全額返済されることも決まっていることから、「刑事告訴は見送る」としている。
とにかく、クラブにはガバガバだったガバナンスを引き締めてもらい、その上でクラブとして目標としている45億円、そして50億円の売上を目指してもらいたいです。