今朝の静岡新聞で報じられたとおり、大榎克己監督の辞任が発表されました。昨年の7/30に就任してからほぼ丸1年で再び監督が交代することとなりました。現状では田坂和昭ヘッドコーチが監督代行として指揮をとることになります。
大榎克己監督 辞任のお知らせ(清水公式)
http://www.s-pulse.co.jp/news/detail/30231/
このたび、大榎克己監督が辞任することが決定いたしましたので、お知らせします。なお、後任は田坂和昭ヘッドコーチが監督代行を務めます。【大榎前監督 コメント】『いつもご声援、ご支援をいただき本当にありがとうございます。しかしながら、皆さまのご期待にお応え出来ず、誠に申し訳なく思っております。昨年7月にトップチーム監督の要請を頂戴してから、ちょうど1年となります。昨年の苦しい残留争いを抜け出し、その経験から今年こそはと臨んだシーズンでしたが、これまで思うような成績が挙げられず責任を重く感じております。今は厳しい状況をなかなか抜け出せておりませんが、もちろん誰も諦めてはおりません。しかし、残りのシーズン1/3を残す今、私が身を引き、田坂ヘッドコーチをはじめとするスタッフに委ねた方がチームのためには良いと決断しました。ここに至るまでは何度も自問自答し、熟慮した結果であります。これまで一緒に戦ってきたスタッフ、選手たちには本当に申し訳なく思っておりますが、彼らの力ならば、必ず浮上していけると信じています。そして、誰よりもエスパルスを愛する気持ちはこれからも変わりません。これまで支えてくれたチーム、フロントの皆さま、スポンサーの皆さま、そしていつも温かく背中を押してくれたサポーターの皆さまに心から感謝申し上げます。これからもエスパルスをよろしくお願いいたします。』
http://www.at-s.com/sports/detail/1174219568.html
サッカーJリーグ1部(J1)清水エスパルスの大榎克己監督(50)が、成績不振の責任を取って辞任する意向をクラブに伝えたことが31日、分かった。後任に田坂和昭ヘッドコーチ(43)が監督代行に起用される見通し。大榎監督は昨年7月、解任されたアフシン・ゴトビ前監督の後任として清水エスパルスユース監督から昇格。静岡市清水区出身で、クラブの創生期に活躍したOB監督はチームの再建を託されたが、昨季は最終節でJ1残留を決めるなど低迷した。今季は3~5月にクラブワーストタイのリーグ戦9戦勝ちなしを記録するなど第1ステージは最下位。第2ステージも1勝2分け2敗と苦戦し、年間順位は17位。J1に残留できる15位とは勝ち点3差で、厳しい状況が続く。大榎監督の采配したリーグ戦は通算8勝9分け22敗。元日本代表MFの田坂氏は広島市出身。東海大一高(現東海大翔洋高)、東海大を経て、ベルマーレ平塚(現湘南)や清水でもプレー。引退後は清水などでコーチを務めた。11年、J2大分トリニータ監督に就き、12年にJ1復帰させたが、1シーズンで降格。今年6月に解任された。
<大榎監督辞意>2年連続の途中交代 低迷状況深刻さ示す(静岡新聞)
J1清水の大榎監督が辞意を固めた。清水が2年連続でシーズン途中の監督交代という異常事態を招いたことは、低迷からの脱却を目指すチームの現状がいかに深刻かを如実に示している。将来のビジョンが不透明なクラブに、魅力を感じない主力選手が2010年オフ以降、大量に去るなど、チームは基盤から揺らいでいた。補強に本腰を入れたのは、年間勝ち点で16位大宮に1点だけ上回り、辛うじてJ1に残留した昨オフから。低迷の責任が大榎氏の采配のみに帰結するものでないのは明白だ。1993年のJリーグ開幕から1度も2部降格がない清水の財産は「人材」にある。黎明(れいめい)期からクラブを支えてきた大榎氏は、選手やスタッフからの信望も厚い。“火中のクリ”を拾った同氏の強い要望で、巣立っていった田坂氏らOBやスタッフを清水に戻し、体制の整備は進めていたが、残り12試合。辞任の決断しか選択肢が見当たらないところまで追い詰められていた。
大榎監督は昨シーズンの途中から前任のアフシン・ゴトビ監督(当時)に変わって指揮を取り、リーグ戦では17試合で4勝3分け10敗。新人監督という点を考慮しても、勝ち点15というのは物足りない数字でしたが、なんとか15位でJ1残留に成功しました。
今シーズンはシーズン開始時から指揮を取り、スポンサー収入の増加、選手のレンタルバックや外国人2選手の獲得、有望な新人の加入もあり、大榎色を出したチーム作りが期待されました。
しかし、開幕前のニューイヤーカップから3連敗して不安を露呈すると、1stステージでは昇格チームに1勝も出来ず、サポーターも首を傾げる采配で勝ち点を落とす試合が見られ、結果的に途中9試合連続勝ちなしを含む3勝4分け10敗の勝ち点13で最下位に沈む結果となりました。
守備の不安を危惧する声がある中で7月初旬にフリーだった田坂和昭氏がヘッドコーチに就任。また、大榎監督と旧知の仲でACミランを退団した遠藤智則氏をメディカルアドバイザーに招き入れました。
スタッフとFW鄭大世(4節から出場)を新たに加え勝負に出た2ndステージでしたが、ここまで1勝2分け2杯。5試合目の前節横浜戦でようやく今シーズン初の逆転勝利を収めましたが、4バックへの移行、選手交代、メンバー選考、監督の服装・行動に至るまでいつもと違う雰囲気に、監督辞任・交代の影がちらついていました。報道によれば、横浜戦のあと辞意を固めたということです。
この1年で大榎監督がエスパルスに残したものは何だったのでしょうか…。大榎克己という人物がエスパルスにとって大事な人材であることは疑う余地もありません。しかし、トップチームの監督を務めるのに本当に適任だったのか。
大榎監督も前任のゴトビ監督と同じく理想にこだわり続けました。ゴトビ監督と異なったのは、前任者は結果が出なければ結果を求めた修正を行ったのに対して、大榎監督は今シーズン、常に結果よりも理想にこだわってしまったということ。プロのトップチームの監督として最もこだわらなければならない結果にこだわりきれなかったことかと思います。
とりあえずは田坂ヘッドコーチが代行監督を務めるとのこと。昨シーズン、ゴトビ監督から大榎監督に変わった際に「火中の栗を拾う」という表現がされましたが、既に降格圏に沈む今こそ「火中の栗を拾う」という表現が当てはまるのではないでしょうか。
田坂ヘッドコーチも当面の目標は降格圏を脱出し、J1残留を果たすことになると思います。結果にこだわった采配を見せてくれることを期待します。
監督交代の好機は今まであったにもかかわらず、最期までそのカードを切ってこなかったエスパルス。今回ついにそのカードを切ることになりましたが、それが正しい判断だったとシーズン終了時に言えるように、残りのシーズン期待したいと思います。
大榎監督、1年間お疲れ様でした。田坂コーチ、頑張ってください。