今シーズン就任したスペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の契約解除が発表されました。あわせて、コーチングスタッフの契約解除も発表されています。
清水では3シーズン連続でのシーズン途中の監督交代となりました。
ロティーナ監督 契約解除のお知らせ(清水公式)
https://www.s-pulse.co.jp/news/detail/48265
このたび、ロティーナ監督との契約を双方合意の上、解除することが決定いたしました。また、併せてイヴァン パランコ ヘッドコーチ、トニ ヒル プエルト フィジカルコーチ、小寺真人分析兼通訳との契約も解除となりましたので、お知らせいたします。
ロティーナ (Miguel Angel LOTINA)
【出身地】
スペイン【生年月日】
1957年6月18日【選手歴】
CDムンギア(1976~1977)
- ゲルニカクラブ(1977~1978)
- CDログロニョス(1978~1981)
- CDカステリョン(1981~1983)
- CDログロニョス(1983~1988)【指導歴】
1990年~1992年 CDログロニェスB
1992年~1992年 CDログロニェス
1993年~1996年 CDヌマンシア
1996年~1997年 CDログロニェス
1997年~1998年 CDバダホス
1998年~1999年 CDヌマンシア
1999年~2002年 CAオサスナ
2002年~2004年 セルタ デ ビーゴ
2004年~2006年 RCDエスパニョール
2006年~2007年 レアル ソシエダ
2007年~2011年 デポルティーボ ラ コルーニャ
2011年~2012年 ビジャレアルCF
2014年 オモニア ニコシア(キプロス)
2014年~2016年 アル シャハニアSC(カタール)
2017年~2018年 東京ヴェルディ 監督
2019年~2020年 セレッソ大阪 監督
2021年~ 清水エスパルス 監督【コメント】
『清水エスパルスに関わるすべての皆様へ、お別れの挨拶をさせていただきます。
まずは皆様に感謝を申し上げます。クラブフロントの方々、このプロジェクトの一員となる機会を与えていただき、ありがとうございます。そして、ここまでの間、支えてくれたクラブで働くすべての人たち。コーチングスタッフ。そして選手たち。彼らが毎日見せてくれたプロ意識に、とても感謝しています。なかなか、今シーズン上手くいかない中でも、誰一人ハードワークをやめることはありませんでした。
サポーターの方々からは、いつも温かい応援をしていただきました。これからも、これまで通りの最高の力を、引き続きチームに送って下さい。皆さんの存在はとても重要です。
今シーズン、大事な選手たちの怪我が重なるという、難しいシーズンでしたが、我々はどんな時も、大きな期待と情熱を持って仕事をしてきました。その中で、たくさんの人たちに支えられました。今まで本当にありがとうございました。
皆様から受けた、愛情と思いやりのおかげで、私、そして私の妻も、この静岡で充実した時間を過ごすことができました。
改めて感謝いたします。皆様、ARIGATO』イバン パランコ (Ivan Palanco SANTIAGO)
【出身地】
スペイン【生年月日】
1980年1月12日【指導歴】
2008年~2009年 FCバルセロナスクールコーチ
2009年~2012年 FCバルセロナスクール福岡校テクニカルディレクター
2012年~2013年 ヨハン・クライフ国際大学講師
2013年 ラチャブリーFC(タイ)監督
2014年~2015年 アル シャハニアSC(カタール)ヘッドコーチ
2017年~2018年 東京ヴェルディ ヘッドコーチ
2019年~2020年 セレッソ大阪 ヘッドコーチ
2021年~ 清水エスパルス ヘッドコーチトニ ヒル プエルト (Toni Gil PUERTO)
【出身地】
スペイン【生年月日】
1979年12月18日【指導歴】
2009年~2010年 ウニオ ジャパク イ テラッサ U-12~U-18(スペイン)
2010年~2011年 RCDエスパニョール U-18(スペイン)
2011年~2013年 UEサン・アンドレウ(スペイン)
2013年~2014年 CFバタロナ(スペイン)
2014年~2015年 ヴィデオトンFC(ハンガリー)
2015年~2016年 UDアルメリア(スペイン)
2016年~2017年 AEKラルナカ(キプロス)
2017年 東京ヴェルディ コンディショニングコーチ
2018年 東京ヴェルディ フィジカルコーチ
2019年 ガンバ大阪 フィジカルコーチ
2020年 セレッソ大阪 フィジカルコーチ
2021年~ 清水エスパルス フィジカルコーチ小寺 真人 (Manato KOTERA)
【出身地】
大阪府【生年月日】
1988年1月31日【指導歴】
2006年~2011年 尼崎東ミュートス コーチ
2013年~2015年 CD Almeda U10 監督
2014年~2016年 Soccer services オンライン指導者養成講座 チューター・翻訳
2015年~2016年 Ciudad Cooperativa U14 監督
2016年 UE Sant Ildefons U14 監督
2016年 CF Can Vidalet U16 第2監督
2017年 東京ヴェルディ 通訳
2018年 東京ヴェルディ テクニカルアナリスト兼通訳
2019年 セレッソ大阪 通訳
2020年 セレッソ大阪 分析兼通訳
#ロティーナ 前監督より、皆さんへメッセージをいただきました。#spulse https://t.co/kJus5wBYSL pic.twitter.com/BaTGdKaOwu
— 清水エスパルス公式 (@spulse_official) November 4, 2021
ロティーナ監督は昨シーズンまで率いたセレッソ大阪を契約満了になった後、今シーズンから清水の監督に就任。
それまでに東京ヴェルディ、セレッソ大阪でタイトルはないものの安定して戦えるチームを構築。特に守備の面では定評があったため、前シーズンに大量失点で苦しんでいた清水にとってはこの上ない監督として大いに歓迎されました。
リーグ開幕戦に勝利を収めて上々のスタートを切りましたが、チームを構築する春先から主力に離脱者が相次ぎます。
MFヘナト・アウグストが膝の負傷で離脱、DFウィリアム・マテウスが契約解除で帰国、守備の要として期待されていたDF鈴木義宜が頭蓋骨骨折で6月以降欠場、同じくサイドバックで異質の存在感を放つDFエウシーニョも肉離れで長期戦線離脱。昨シーズン得点王のFWカルリーニョス・ジュニオが肉離れで2度の離脱、などチームの核となる選手が長期不在の時間が続きます。
それでも3バックや4バックを駆使してチームを修正し、なんとか勝ち点を拾う試合を続けます。
苦しい中でもルヴァンカップでは久々に決勝トーナメントに進出するなど成果もありましたが、リーグ戦での成績は前半戦から下位に低迷した状態が続きました。
夏にも大型補強を敢行し、チームとしては選手が昨シーズンとほぼ入れ替わるくらいにまで変化しました。
ただ、その一方で選手を大幅に入れ替えたためチームとしての構築がなかなか進まない悪影響も発生。
つまらない失点が減らないこと、セットプレーからの失点癖が改善されないこと、などロティーナ監督のチームらしくない状況が続きました。
最近では選手、特に守備の選手は固定気味にしていましたが、相手に先手を取られてからも反撃できるだけの攻撃のアイデアが乏しく、また運の無さもあり、閉塞感が漂うだけの状況が続いていました。
10月中旬からはリーグ戦直近3試合で3連敗。攻撃では無得点と、終盤にきて一気にブレーキがかかってしまい、降格圏とは勝ち点2差、順位は16位と崖っぷちに追い詰められています。
仮にJ2降格をしても、引き続きロティーナ監督に指揮を取ってもらい、長期的なビジョンでチームの構築を期待するファンも多くいましたが、J2降格がちらつく状態でクラブとしてはこの閉塞感を打破して雰囲気を変え、J1残留を決めるために監督を解任するという大ナタを振るったことになります。
そして後任として就任したのが、今シーズンコーチとしてベンチに入っていた平岡宏章新監督です。
平岡 宏章 監督就任のお知らせ(清水公式)
https://www.s-pulse.co.jp/news/detail/48266
このたび、清水エスパルスの監督に、平岡宏章コーチが就任することが決定しましたので、お知らせいたします。
平岡 宏章 (Hiroaki HIRAOKA)
【出身地】
静岡県静岡市(旧清水市)【生年月日】
1969年9月2日【選手歴】
清水市立商業高校(現 清水桜が丘高校)
- 順天堂大学
- 清水エスパルス(1992)
- コンサドーレ札幌(1996)
- アルビレックス新潟(1997~1998)【指導歴】
1999年 アルビレックス新潟 サッカースクールコーチ
2000年~2002年 アルビレックス新潟 アシスタントコーチ
2003年~2006年 アルビレックス新潟 コーチ
2007年~2008年 アルビレックス新潟シンガポール 監督
2009年 アルビレックス新潟 ジュニアユースコーチ
2010年 アルビレックス新潟 ジュニアユース監督
2011年 清水エスパルス ユースコーチ
2014年7月~2019年 清水エスパルス ユース監督
2020年 清水エスパルス コーチ
2020年11月 清水エスパルス 監督
2021年~ 清水エスパルス コーチ【資格】
日本サッカー協会公認S級コーチライセンス
平岡監督は昨年の2020シーズンも11月からチームを率いて、9試合を戦い、4勝2分け3敗と勝率5割以上の成績を収めています。
就任1試合目にはホームでヴィッセル神戸を撃破。2試合目では当時ロティーナ監督が率いていたC大阪にも勝利しています。ともに3-1で勝利して「平岡スコア」とも呼ばれました。
チームを立て直した手腕が評価され、11月のJ1月間最優秀監督賞も受賞しています。
そして、その後も王者川崎フロンターレと引き分けるなど解任ブーストを成功させ、最終的にはシーズン中に最下位に沈むことのあったチームを16位フィニッシュに導きました。
試合では選手の良さを引き出す采配を信条として臨み、(コーチ時代もそうですが)ベンチから大きな声を送り、身振り手振りで選手に支持を出す熱血漢。いま、チームに最も必要な「熱量」のある人物です。
昨シーズンの手腕を見れば、シーズン終盤に来て後任を託せるのは平岡監督しかいませんでした。
ただし、昨シーズンは降格制度が免除された特殊なシーズン。今シーズンとはプレッシャーも違うはずです。
いわゆる「解任ブースト」が必ず成功するかどうかわかりませんし、かなりの賭けであることは確かですが、清水はこの賭けに勝たないといけません。
チームが低迷しているのは決して監督だけのせいではなく、チーム一丸となって乗り越えなければならない課題です。
責任をかぶってくれたロティーナ監督、覚悟を持って引き受けてくれた平岡監督のためにも、残り4試合でいい結果を出すことに集中してもらいたいと思います。